メガネに対する、お客様の「負」を解消する―。
その思いから開発がスタートした、眼鏡市場の「FREE FiT」。
「軽い、ズレにくい、驚きのかけごこち。」でブームを巻き起こし、
メガネ業界売上No.1へ躍進する立役者となった。
発売から10年、今も多くの方々に愛され続ける“ブランド”の開発を支える
3人のプロフェッショナルに話を聞いた。
吉田 和弘
商品開発部 部長
櫻井 憲一郎
商品部 / 部長
早田 直純
商品開発部
商品開発グループ
マネージャー
FREE FiT
メガネに対する、お客様の「負」を解消する―。
その思いから開発がスタートした、眼鏡市場の「FREE FiT」。
「軽い、ズレにくい、驚きのかけごこち。」でブームを巻き起こし、
メガネ業界売上No.1へ躍進する立役者となった。
発売から10年、今も多くの方々に愛され続ける“ブランド”の開発を支える
3人のプロフェッショナルに話を聞いた。
商品開発部 部長
商品部 / 部長
商品開発部
商品開発グループ
マネージャー
メガネトップは、世界的なメガネ産地・福井県鯖江市に自社工場を擁しています。企画から製造、販売まで一貫して管理できる「製販一体」、その強みを生かしプライベートブランド(PB)の開発に本格着手したのが10年前。組織の壁を越えた「新メガネ開発プロジェクト」として始動しました。眼鏡市場がスタートした当初、PBは売上全体の3割程度の規模でしたが、今では8割を構成するまでに成長させることができました。その先駆けとして生まれたのが「FREE FiT」です。PBとはいえ、当社のラインアップの中でも決して安価ではないブランドですが、それでも長年ご愛用いただいているのは、常にお客様目線で商品開発をしてきたからこその成果だと自負しています。
「FREE FiT」が発売された当時、業界でも初の試みとなるメガネフレームのテレビCMを打ち出して、大きな反響を得ることができました。「ジェットコースターに乗ってもズレません」というインパクトのある映像で、「欲しい」、「掛けてみたい」と思われた多くの方が店舗に足を運んでくださったのです。それはまさしく、お客様が顔にフィットするという価値を求められていたからだと思います。
その後、様々なメーカーから類似商品が発売されましたが、品質を含め当社の「FREE FiT」が一番(笑)。売れると判断されたからコピーされる訳で、「FREE FiT」は我々に、「メガネフレームのトレンド、“モード”を形成することもできるんだ」と確信させてくれた特別なブランドのひとつです。(吉田)
商品開発部の仕事は、お客様のニーズを理解しなければ始まりません。企画はマーケティング調査からスタートします。メガネを購入してくださったお客様のアンケートや店舗スタッフからの情報、お客様相談室など、社内で集めつつも協力会社にご協力いただいて、ニーズの変化を確認していきます。「FREE FiT」が世の中にどう評価されているか、定期的に“エゴサーチ”も行っています。
商品開発を担当してきた中で、3年経つと一定のトレンドに変化が生まれるという実感を得ています。今まで売れていたモデルが売れなくなり、他の目立たなかったモデルが売れ始めたり。ファッションの傾向や遊びのスタイル、社会状況、その時々のお金の使い方なども変化に影響しているのかもしれません。商品開発ではこうしたマーケット感覚を大切に企画するように心がけています。また、機能や耐久性といった部分でも毎年改良を重ねています。メガネフレームと鼻パットを支えるクリングスというパーツがありますが、どうしても荷重がかかり折れやすい。この時は早田さんと幾つか試作品をつくり、1/100ミリ単位で調整し、日本古来の加締め構造にすることで、問題を解消することができました。このように考えると、お客様の声や店舗からのフィードバックを聞いて毎年改良を重ねてきたことが、「FREE FiT」の進化そのものなのかもしれません。「軽い、ズレにくい、驚きのかけごこち。」という開発コンセプトを、発売当初よりずっと追求し続けている商品だと思います。(櫻井)
驚きのかけ心地で発売と同時に大ヒット!
極薄メタル×極細樹脂のハイブリットモデル
トウゴマを原料にした植物由来の樹脂素材
現在、「FREE FiT」シリーズとして販売している商品はおよそ100種類にのぼります。毎年新型を発売し、その新型もデザインやカラーバリエーションを含めると1型10モデルほど作ります。有名キャラクターとのコラボレーションモデルなども作成しています。毎年新しい「FREE FiT」を開発していますが、その一本一本にお客様の声やトレンドが反映されているというわけです。
フレームのデザインは、初期の型に比べるとメガネ業界全体のデザインがより細身に、ファッショナブルな雰囲気に変わっています。それに応じて様々な素材を選んできました。例えば、「よりスマートなモデルを!」という声に応え、ステンレスフレームとウルテム樹脂を採用し、軽さと丈夫さを両立したハイブリットモデルを作ったり、メガネを製造する際にCO2を削減できるエコ樹脂を使った環境に配慮したフレーム、アウトドアのファッションとのコーディネートが楽しめるサングラスタイプなど、幅広く展開しています。最近は、抗ウイルス素材を使った商品も開発しました。これは、「FREE FiT」に新しい価値を作ろうと、我々と営業企画、協力会社などが話し合って生まれた商品で、昨今注目されている世の中の「負」を解消することを目的にしました。SIAAという抗菌製品技術協議会に登録した抗ウイルス剤をフレームの表面に施しています。
「FREE FiT」のコンセプトからブレることなく、時代ごとにデザインや素材、機能面などを変えて、これからも進化し続けていきます。(早田)
常に進化し続ける「FREE FiT」ですが、実際に商品を販売する店舗にその魅力を伝えることも大事なポイントです。これまでは、「FREE FiT」の開発の経緯やセールスポイントの資料を作成して共有していましたが今期からオンラインで250カ所ほどの店舗とつなぎ、Web会議を利用した勉強会をスタートしました。ライブ配信だと作り手が、自分の言葉で開発への思いや商品の価値を話せますし、店舗スタッフの表情も分かりますから、より「伝わった」という手応えを掴むことができます。1回の勉強会への参加スタッフは総勢200人を超え、身が引き締まると同時に、同じ“想い”を共有していただくことで販売に貢献できることをとても嬉しく感じています。
大手小売企業でもそうですが、店舗スタッフがその商品を好きで、その熱量で薦めるからこそ、お客様に商品の価値が伝わる。「FREE FiT」が10年以上愛され続けている理由は、作り手と売り手の“想い”を共有して、お客様に商品をお届けできているからかもしれません。(櫻井)